『萬病回春』は、中国、明代にキョウ(龍の下に共)廷賢によって編輯された医学全書である。本書には、甲寅活字(李後期)印本、古韓構字(肅宗期)印本および英祖29年?刊本等(三木栄博士著『朝鮮医書誌』)の10巻本と中国、明版やその翻刻印本の8巻本とあり、わが国においては金陵書房周對峰の新刊本や?門書林葉龍渓重刊本による翻刻などの8巻本が多い。本書は8集8冊よりなり各巻には以下のような項目を挙げて詳述している。
孝集巻1
萬金一統述、薬性歌、諸病主薬、釋刑體、週身臓腑形状、人身背面手足之図、十二経脈歌并補潟温涼薬、十二月七十二候歌
弟集巻2
中風、傷寒、附傷風、中寒、瘟疫、中暑、中湿、火証、内傷、飲食、鬱証、痰飲、咳嗽、喘急、哮吼
忠集巻3
瘧疾、痢疾、泄瀉、霍亂、 嘔吐、 翻胃、 ?逆、 曖氣、呑酸、ソウ(食へんに曹)シュウ(衣へんに集)、諸氣、青筋、痞満、鼓脹、水腫、積衆、五疸、痼冷、班疹、發熱
信集巻4
補益、虚労、失血(吐血、衂血、咳血、喀血、唾血、溺血、便血)、悪熱、悪寒、汗証、眩暈、 麻木、 癲狂、癇症、健忘、征チュウ(りっしんべんに中)、鷲悸、虚煩、不寐、邪崇、厥證、濁証、遺精、淋証、関格、遺溺、小便閉、大便閉、痔漏、懸癰、體氣、脱肛、諸蟲
帷集巻5
頭痛、 鬚髪、面病、 耳病、 鼻病、 口舌、歯牙、 眼目、 咽喉、結核、梅核氣、?瘤、肺癰、肺萎、心痛(即胃カン(月に完)
痛)、腹痛、腰痛、脇痛、臂痛、背痛、痛風、脚氣、癩疝、痿○、消渇、○(やまいだれに至)病
義集巻6
婦人科、調經、經閉、血崩、帯下、虚勢、求嗣、妊娠、産育、小産、産後、乳病、乳岩、婦人諸病
○集巻7
小児科、急驚、慢驚、疳疾、癖疾、諸熱、感冒、傷食、腹脹、嘔吐、泄潟、吐潟、痢疾、瘧疾、咳嗽、喘急、 小児初生雑病、胎熱、胎悪、臍風、撮口、胎驚、
夜啼、中悪、天吊、鵞口、 口瘡、重舌、木舌、走馬牙疳、愛吃泥土、丹毒、赤腫、喉痺、眼痛、膿耳、鼻瘡、頭瘡、臍瘡、諸蟲痛、尾骨瘡、疝氣、盤腸、
脱肛、遺溺、尿濁、便血、下淋、吐血、小便不通、大便不通、水腫、黄疸、自汗、發班、觧顱、鶴節、行遅、髪遅、語遅、 歯遅、亀胸、亀背、痘瘡、麻疹
耻集巻8
癰疽、瘰癧、疔瘡、便毒、下疳、揚梅瘡、○瘡、疥瘡、癬瘡、痿瘡、癜瘡、歯浴A諸瘡、杖瘡、折傷、金瘡、破傷風、湯火、蟲獣、中毒、骨梗、五絶、膏薬、通治、奇病、雲林假筆凡12条、キョウ(龍の下に共)氏家訓凡32条
本書の眼科部門は、その禮集第5巻に眼日"として掲載されているが、その説は五臓六腑、五輪八廓説、七十二症論を掲げたもので、薬物治療法が主である。前代の金、元代の眼科を比べると大同小異である。正保4年
(1647)および貞享4(1687)粘にそれぞれ翻刻された日本版と明、萬暦17年(1589)序刊『従弟増補万病回春』の眼目についてだけを比較すると、明版の増補部分は項目では次のようなものである。
(増補眼疾門方旨)
増補消風養血湯
(増補益陽腎気丸)
増補療本滋養丸 増補補陽湯
増補セイ(虫に斉)ソウ(虫に曹)明日 増補乾熟地黄丸
増補本事羊肝丸 増補竈龍點眼方
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